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2022年 12月 15日 Worth of reading books~青木先生~

 自己紹介をするときに,読書と答える人は僕の実感ではかなり多いと思います.また,本を読む/読みたい担任助手も,ブログで確認できた方々だけで,川上先生平井(ゆ)先生伏見先生北原先生藤田先生大貫先生などがいます.僕もその例にもれず,読書が趣味で祖父母から8月にもらった図書カード2万円分をもうすぐ使い切るところです.そこで,少なくない本を読んできた経験を生かして,いくつかの本を紹介しようと思います.ここで,いつも僕が書くブログは行間が詰まっていて読みづらいと,すこぶる評判が悪いのでいくつかのジャンルに分けて1冊ずつ紹介します.

理科系部門

「講談社基礎物理学シリーズ 1 力学」,副島・杉山,2009,講談社

 

 高校生で物理学をキチンと学びたい,大学生で物理学に興味はあるけど何をやればいいのかわからないといった初学者向けの力学の本です.ええ,当然物理ですから数学は出てきます.しかし特に難しい数学を扱っているわけではなく,丁寧に読み進めていけば必ず理解できるはずですし,僕は高校2年の休校期間中にこれを一通り読み終えることができました.物理の参考書を探している高校生に特におすすめです.

 

実用書部門

「誰のためのデザイン?」,D.A.ノーマン(野島久雄訳),1990,新曜社

 デザイン,心理学,UI/UX,といったワードのどれかひとつにでも興味がある人におすすめです.日常にありふれているデザインは,あなたが使う前からどのように使われるか,わかりきっているものです.この本では「アフォーダンス」という概念が紹介され,例えばマグカップの持ち手は,あなたに握ることをアフォードするといった,造形に意味を感じさせる本です.この本を読み終えてからは,身の回りの物やwebサイトなどの不便さが際立つように感じられるので,能天気でお気楽に生きて,既製品で満足したい人には読まないことをお勧めします.

 

政治部門

「民主主義とは何か」,宇野重規,2020,講談社

 トランプ元大統領の当選や中国独裁政治など,当たり前だと思っている民主主義について考えることが増えた私たちが,改めて民主主義についてのヒントを探るために,歴史を古代ギリシアまでさかのぼり,アメリカの独立やナチズムの台頭を経てきたことから,どうすればよいだろうか,ということに対してのアドバイスがかかれた本です.この本の筆者が日本学術会議に任命拒否されていることも,一つの事例として考えることもできるかもしれませんね.

 

辞典・事典部門

「中国名言名句の辞典」,尚学図書,1989,小学館

 歴史を見ても明らかのように,日本の思想は中国の影響を大きく受けてきました.その中でも,儒教の影響はその起源を2000年以上前にさかのぼっても根強く日本に残り続けています.僕とても新鮮で,中国語を一度学んで音読してみたいと思わせます.僕の気に入っている言葉は,朱熹の

“少年易老學難成

一寸光陰不可輕

未覺池塘春草夢

階前梧葉已秋聲”

です.今が人生のとても大事な時期だと思うと,大学生として書をよみ,友と議論して,師に教わろうと身が引き締まります.

 

日本思想部門

「『いき』の構造」,九鬼周造,1930,岩波書店

 ソシュールの構造主義などを踏まえて,日本語に特有の「いき」の概念を考察する取り組みです.この本を読んで私は,日本人の恋愛の行動には「いき」が見てとれると考え,実際本にも「『いき』の質料因たる二元性としての媚態は(中略)異性へ向かう能動性および異性を迎える受動性を表示する」と述べています.ただし,注意が必要なのは筆者自身が述べているように,「いき」の会得は主体的体験が欠かせないと述べているため,本に頼りすぎることは注意が必要です.文体は堅いですが,写真入りの本もあるので,そちらの版の画像も載せておきます.

 

日本文学部門

「ノルウェイの森」,村上春樹,2004,講談社

 この本は二種類の楽しみ方ができます.もちろん,普通の恋愛小説としても読むこともできますが,それ以上に文学的な価値があります.村上作品に共通して言えることですが,彼の主題には自己の発見があるように思われます.これは,ほかの作品にも共通していて,例えば「1Q84」など,登場人物としては2人だが,お互いの足りない部分を探し求めるということから,一人と数えたほうがいいように思われます.この本は上下2巻になっていますが,本の装丁もきれいなので,是非買ってみてください.この間友人に誕生日のプレゼントとして挙げたのですが,カバーだけは自分のものにしたいと,捨てたことを悔やんでいます.今は「海辺のカフカ」を読んでいる途中で,このブログが書き終わったら残りの10%を読もうと思います.

 

 いかがでしたか?ここで上げた僕が本は好きな本というよりも,一般的な大学生や高校3年生を想定して書いたので,ほかにもおすすめはあります.興味を持った方は是非声をかけてください.一緒に語り合いましょう.

 

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慶應義塾大学理工学部1年

青木陽

 

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